富ヶ谷図書館
渋谷区立富ヶ谷図書館 訪問記
渋谷区立富ヶ谷図書館は、井ノ頭通りと山手通りが交差するそばにある図書館。富谷小学校のプールの下が図書館になっているという、面白い構造の図書館です。児童向け特集コーナーの看板は、毎回凝った作りです。
富ヶ谷図書館は、小田急線代々木八幡駅や千代田線代々木公園駅から、歩いて5分もかかりません。代々木八幡駅なら南口、代々木公園駅なら1番出口を出て、小田急線の線路に近づく方向に進み、線路と一緒に山手通りの高架の下をくぐります。くぐった先で左折し、そのまま道なりに進んでいけば、右に富ヶ谷図書館が現れます。
この山手通り下通路の壁面には、♪兎追ひし、かの山~の「ふるさと」の歌詞とそれにちなんだ壁画が描かれています。また、この通路より少し南(富ヶ谷図書館に近づく方向)のトンネルには、♪春の小川はさらさら流る~の「春の小川」をイメージした壁画も。「ふるさと」や「春の小川」を作詞した高野辰之は、渋谷区に住んでいたそうなので、それにちなんで壁画に描いているんでしょうね。
また、駅から富ヶ谷図書館の途中に、写真集やアート書専門の小さな古書店があり、こうした書籍が好きな人にはお薦めです。書肆小笠原という古書店で、壁にぎっしりと写真集や美術本が並んでいます。
富ヶ谷図書館には、その名前にちょっと不思議なところがあるんです。二つの駅から山手通りをくぐる手前付近は「渋谷区富ヶ谷」なのですが、くぐった先の富ヶ谷図書館のある側は「渋谷区上原」なのです。富ヶ谷ではない場所に建てられた富ヶ谷図書館。更に、接してる小学校の名前は「富谷小学校」。小学校の方には「ヶ」がないんです。私もサイト読者さんに教えていただいて知ったのですが、なぜこうなったのか、不思議ですね~。
図書館はプールの下のワンフロア。入口を入ると、前に書架が広がっていて、左手前にカウンターがあります。書架は、ざっくり説明すると、手前側が児童コーナー、奥と左側が一般書架、右側中ほどに新聞・雑誌コーナーとなっています。狭い中にたくさん本を置いてくれているという雰囲気ですね。
やはり小学校に接しているという立地からか、児童コーナーの占める割合が広いです。書架全体の半分弱は児童コーナーといえるくらい。図書館自体が小さいけど、児童コーナーは中規模図書館のそれくらいの面積がありますね。
児童コーナーで一番目立つのが、図書館に入ってすぐ目に入る児童向け特集コーナーの看板。毎回職員さんの手作りで作られている看板は、裏も凝っているんです。ぶたの特集のときには、裏にぶたの尻尾が描かれていたり、かいじゅうの特集のときには、「う゛ふぉふぉ」と怪獣の鳴き声が書いてあったり、何か気になる裏側になっているんですね。児童コーナーの一画には、これまでの特集看板を撮影した写真を集めて展示しており、展示テーマのリクエストも募集しています。
絵本は、タイトルの五十音順に並んでいます。ぬいぐるみがたくさんあったり、お絵かき用の鉛筆やクレヨンがあったり、絵本だけでなく、楽しいものがたくさん詰まっている様子の児童コーナーです。
カウンター前の棚が、高学年児童向けの読み物なのですが、私が行ったときには、棚の上に『学習カレンダー 365日』が、その日のページを開いた状態で展示されていました。この本は、何月何日は何が起こった日かをまとめた本なのですが、こういうのは大人が読んでも結構面白い。「こんな本もあるよ」という紹介の意味も込めて、こういう展示をするのはいいですね。
面積では児童コーナーに多くをさきつつ、大人のニーズにも応えようということなのでしょう、一般書架はスペースを駆使してしています。大きい本は、本の背を上にして、棚に置かれていることも多いです。
小説は著者名の五十音順に並んでいます。但し、アンソロジーなど複数の著者による小説本はタイトル名を元に、五十音順の並びに入れられています。例えば、穂村弘(ホムラ ヒロシ)が書いたの本の隣に、7人の作家の共著である『ホラー・ジャパネスクを語る』という本が並び、その隣に堀和久(ホリ カズヒサ)が書いた本がある、といった具合になります。小説の棚の著者名見出しは大きくて、見やすいです。
富ヶ谷図書館は、以前行ったときには別冊宝島が多い印象があったのですが、段々その印象が薄れています。私が富ヶ谷図書館の職員さんに聞いた話では、別冊宝島が出版されるたび全てを購入していた時期もあったそうですが、現在はそうしたことは行っていないとのこと。それでも、書名に「別冊宝島」を含む資料を検索すると、中央図書館が125冊なのに対し、富ヶ谷図書館は233冊(2011/2/20現在)。現在でも、渋谷区立図書館の中で富ヶ谷図書館が一番別冊宝島を所蔵していることは変わりありません。
また、新聞・雑誌コーナーの一画には、渋谷区内に大使館がある各国の資料があるんです。渋谷区にどんな国の大使館があるかご存知ですか?ここに並んでいるのは、マレーシア・ベトナム・トルコ・モンゴル・ヨルダン・オマーン・ウガンダ・ギニア・アラブ首長国連邦・エストニア・ニュージーランド・ペルー・ブルガリア・チェコ・デンマーク・ブルキナファソ・ラトビア・クロアチア・コートジボアールの19カ国。あまり馴染みの無い国でも、渋谷区内に大使館があると知ると、親近感が沸きますね。
閉架書庫がカウンターから見て左にあるのですが、閉架書庫の扉が外されていて、その代わりに手前から二番目の棚のそばにお手製の扉が設置されているんです。つまり、閉架書庫の手前の1列分だけを開架に改造したんですね。想像するに、蔵書が増えていって、棚を増設してもさらに蔵書が増えて、これは閉架の一部を開架にするしかない!ってことで、職員さんがDIYで作ったのではないでしょうか。キレイな施設もいいけど、こういう手作り感のある図書館もいいですね。
また、小規模図書館の一工夫と思ったのが、新着図書の棚に、配架図に「とみがやのつぶやき」(図書館からのメッセージ)が添えたものをクリアシートに入れていて、例えば2011年2月11日の「とみがやのつぶやき」では、確定申告のシーズンが近いということで、確定申告関連の資料が置いてある場所がマーカーで印をつけていたんです。広い特集展示コーナーがなくても、旬の資料をこういう風に紹介する工夫もあるんですね。富ヶ谷図書館に来た際は、「とみがやのつぶやき」もチェックしてくださいね。
先程から狭さを強調する文章になってしまっていますが、家事関連本の棚と隣の棚の間は、他のところよりスペースが広くなっています。これは利用者が多くて、このような配置にしてくれているのかもしれません。私が二度目に行ったとき、車椅子の方も含めて4人がこの辺の棚を見ているという状況になったのですが、ぶつかったりもせずに本を選んでいらっしゃいました。
ちなみに、この富ヶ谷図書館、渋谷区立図書館ホームページの施設紹介では「小粒でもピリッと辛い富ヶ谷図書館をお楽しみ下さい」とあります。私の印象だと、「ピリッと辛い」というよりは、職員さんの温かみを感じる図書館ですね。館内を回っていると、設備を購入して利便性をあげるような工夫より、手作りのもので利便性を挙げたり、賑やかにしている工夫が見られるんです。富ヶ谷図書館で、この温かみを味わってくださいね!
