千代田図書館
千代田区立千代田図書館 訪問記
千代田区立千代田図書館は、九段下駅から歩いて数分の、千代田区役所の中にある千代田区の中央館。平日は22時まで開館しており、学生さんから仕事帰りのビジネスパーソンまで、たくさんの人に利用されています。
千代田図書館は、九段下駅から皇居のお堀に沿って内堀通りを竹橋方面に歩いた左手、千代田区役所の9,10階にあります。地下鉄の出口の案内板では、千代田図書館へは4番出口と書いてあるのですが、6番出口の方が、距離は同じくらいで信号が一つ少ないのでいいですよ。東西線の中野方面行きホームからは4番出口、それ以外なら6番出口へどうぞ。
4番出口が案内されているのは、昔の千代田図書館が4番出口に近かったのを、そのまま利用していることもあるのでしょう。2007年3月11日まで、千代田図書館は現在の場所からみて、内堀通りを挟んだ対面のやや九段下交差点寄り、九段会館の隣にありました。当時も千代田区役所と同じ建物入口違いという形で建っていたのですが、千代田区役所が新庁舎に移転するのと一緒にお引越しすることになり、2007年5月7日から現在の場所で運営されています。
図書館を出て、お堀の向こうに足を伸ばせば、北の丸公園。一日中調べもので利用するときには、お昼の休憩に北の丸公園に足を伸ばすのもいいですね。旧千代田図書館では、窓の方を向けばお堀が目の前だったのですが、今の千代田図書館はそこまで近くないのがちょっと残念です。
千代田図書館は図書館単体の建物ではなく、千代田区役所内に図書館があるという構造なのですが、その千代田区役所も九段第3合同庁舎と併設施設で、同じ建物内に総務省、財務省、厚生労働省の国土交通省の施設があるんです。千代田図書館は、区市町村レベルの公共図書館の中で、もっとも物々しい図書館と言えるかもしれません(笑)。
そんなわけで、警備員こそたくさんいるものの、1階にはパン屋さんやテーブルがたくさんあるロビーがあり、自由に休憩できるのでご安心を。時間帯によっては、千代田図書館で席にあぶれた人が、1階のロビーにあふれています。省庁が入っているビルのロビーで、たくさんの人が勉強している光景は、ここでしか見られないのではないでしょうか。何とも奇妙な光景です(笑)。
入口から見て、手前側が九段第3合同庁舎、奥側が千代田区役所になっているので、入ったら奥側のエレベーターに進んでください。9,10階が千代田図書館です。エレベーターは4機ありますが、区役所が開いている時間帯は、奥の2機が千代田図書館用エレベーターです。土日祝日や区役所が閉まっている時間帯は、4機とも利用できますよ。
2フロアの内訳は、9階が一般書架、10階が児童コーナーです。
まず9階は、エレベーターフロアが図書館全体の中央からやや外れたあたり、つまりエレベーターホールの周囲に図書館フロアがぐるりとある形です。
エレベーターホールを左に行くと貸出・返却カウンターがあり、カウンターの右にカセット・CD・ビデオ・DVD、カウンターの正面仕切り沿いと向かって左にネット閲覧PC、その奥には大型タッチパネルで千代田区の案内が表示される画面が置いてあります。そのさらに左は、参考図書・地域資料・ビジネス関連本などがある「調査研究ゾーン」。
また、エレベーターホールを右に行くと、コンシェルジュのいるカウンターがあります。これは、レファレンスカウンターではなく、図書館という施設や千代田区を案内してくれるところで、コンシェルジュカウンターの前の床には、千代田区内の大きな古地図がマットになっています。コンシェルジュカウンターの左には、新聞・雑誌コーナーと文庫・新書、住宅地図、大活字本など。コンシェルジュカウンターの右には一般書架が並んでいます。
これらの区画に囲まれたエレベーターホールの隣には、ネット閲覧PCの並びの延長線上にAV試聴機も並んでいます。閲覧席は、貸出カウンター側・コンシェルジュカウンター側のどちらにも自由に座れる席があり、北西側の壁沿いは、指定席制のキャレル席になっています。
9階はフロア全体が千代田図書館ですが、10階はフロアの一画が千代田図書館児童コーナー。面積で10階の一般書架の6分の1程度でしょうか。児童コーナーは、面積の半分以上を読み聞かせコーナーが占めていて、貸出返却だけでなく、ここで読むことをしないともったいないくらいです。
辞書類・地域資料とビジネス関連本を除いた一般書架は、コンシェルジュカウンター側のエリアに広がっています。背の低い棚が整然と並んでいます。
書架を歩くと、ところどころに千代田区の美術館・博物館の紹介があり、さらにそれらの施設からのおすすめ本をチラシにして配布しています。例えば、「314 議会」の棚に「衆議院憲政記念館」の紹介、「280 伝記」の棚に「昭和館」の紹介、「700 芸術・美術」の棚に「出光美術館」の紹介、「002 知識・学問・学術」の棚に「国立公文書館」の紹介といった具合。個人的には、衆議院憲政記念館の「国会職員の仕事がわかる本」を薦める文章に大変読む気をそそられました!近いうちに読もうと思います。
書架の中の閲覧席に近い列には、「千代田区ゆかりの文学者」コーナーがあります。有島武郎、泉鏡花、菊池寛、白洲正子、吉行淳之介など、明治以降の物故者で千代田区にゆかりのある文学者の書籍が並んでおり、配布している一覧を見れば、区内のどの地域にどのようなゆかり(生まれた、暮らした、学校に通ったなど)があるかもわかります。こちらに配置された文学者については、小説の棚に「吉屋信子は「千代田区ゆかりの文学者」コーナーにあります」などと注記してあるので、それを見て「この人も千代田区ゆかりなんだ!」と知った人もいるのでないでしょうか。
コンシェルジュカウンター向かって左の大活字本の棚の裏側には、ハングルの資料がずらっと並ぶ「蘆原(ノウォン)図書館コーナー」があります。千代田図書館は韓国ソウル市の蘆原区立蘆原情報図書館と業務協力協約を結んでいて、その事業の一環で互いに交換した本が100冊ほど棚にあるのです。ざっと見たところ、ビジュアルものはなく、すべて読みもののようですね。私はハングルが読めないのでわかりませんが、装丁から察するに児童や中高生向けの本も多いような気がします。
また、カセット・CD・ビデオ・DVDがあるエリアから文庫・新書のエリアをつなぐあたりは展示本コーナーとなっています。出版PR誌や古書販売目録の展示はたぶん常設なのかな。千代田区は古書店の多い神保町があったりするので、千代田図書館も書店と提携し、新品図書や古本の購入について、コンシェルジュがお手伝いするそうです。購入時には書店に足を運ぶことになるので、新品図書は自分の馴染みの書店で買った方がいいようにも思いますが、なかなか手に入らない古本で、どの古書店に相談すればわからないときなどは、千代田図書館のコンシェルジュに相談してみてもいいかもしれません。
貸出カウンター向かって左、円状の本棚の内側にパソコンが点在している「情報探索コーナー」は、オープン当初「新書マップコーナー」としてマスコミにもよく取り上げられたエリアですが、現在は普通のネット閲覧PCやオンラインデータベース専用PCが並んでいます。ただ、3台ある情報ポータルサイト用PCは新書マップコーナーの名残と言えますね。
この新書マップコーナーは、たぶん新書マップを活用してくれる利用者がほとんどいなくて、実質ただのネット閲覧PCとして使われていたので廃止してしまったのだと思うのですが、私個人の意見では新書マップコーナーが活用されなかったのは、新書マップというアイデアが悪かったわけではなく、新書マップ用の新書を貸出不可にしたことが悪いと思うので、ここの新書を貸出可にして(今は新書マップ用PCがないので、貸出不可のままにするのは全くの無駄ですし)、1台だけでも新書マップ用PCを置けばいいのにと思います。
「情報探索コーナー」には千代田Web図書館のデモ機が1台あります。千代田Web図書館とは、ネット上から電子図書を貸出・返却できるサービスで、今のところ千代田区在住・在勤・在学の人のみが利用できるようになっています。
私もデモ機を使ってみましたが、このWeb図書館では「XMLタイプ」「PDFタイプ」「Flashタイプ」の3種類の電子図書を扱っていて、それらのファイルをダウンロードして利用するのではなく、WBOOKというソフトで千代田区立図書館のサーバ内のファイルを見るという形のようです(キャッシュには保存していると思うけど)。
電子図書を見る前にまず貸出処理が必要です。カテゴリー別のリストやタイトル・著者・出版社での検索で読みたい電子図書が見つかったら、その図書の「貸出」ボタンを押します。ログインしている状態ならそれで貸出処理が終了。あ、図書を探すだけなら、ログインしていなくても千代田Web図書館のページからできますよ。
貸出した本を読みたいときは、千代田Web図書館内の「マイライブラリ」ページにアクセス。すると、自分が貸出している本が一覧表示されています。読みたい本の「読む」ボタンをクリックすると、Wbookが立ち上がり、その本が開きます。読むの自体は、eBookを読める他のソフトとそんなに変わらないですね。文字の大きさを変えられたり、付箋をつけたりもできます。
一度に貸出できるのは5冊14日間まで(他の人の予約がなければ1回のみ1週間延長可能)。返却の際には、「マイライブラリ」ページにある一覧の該当図書の「返却」ボタンを押せば返却終了。延長も「延長」ボタンをクリックでできるようです。
情報探索コーナーの丸い棚の隣は調査研究ゾーンで、地域資料・辞典類・統計資料に加えて、ビジネス関連資料も取り揃えています。ビジネス雑誌やビジネス関連本が禁出扱いになっているので、誰かが借りているために利用できないということがありません(館内で誰かが使っている可能性はありますが)。私も、ビジネス雑誌を読み逃したときなどは千代田図書館に読みに来ており、貸出不可にしている利点を享受しています。他の区立図書館では、読み逃したから借りようと思ったときには、既に長蛇の予約待ち行列ができていますからね。
また、調査研究ゾーンの席では、持参PCを無線LANにつなげてネットに接続することができます。キャレル席(窓際の個人ブース席)でも、持参PCを有線LANでネットに接続することが可能ですが、キャレル席の利用は1日1回2時間制となっています。千代田図書館で持参PCをネット接続させたい場合は、利用時間によって調査研究ゾーンとキャレル席を使い分けたいですね。といっても、とにかく利用者の多い千代田図書館の席ですので、自分の希望より、席の埋まり具合に左右されてしまうがちですが。
調査研究ゾーンの一画、レファレンスカウンターに近い辺りでは、古本屋さんの所蔵品や千代田区立図書館所蔵の古い資料がガラスケースに入れて展示されています。ここは常設展示ではなく、企画をその都度変更して展示しているので、興味のある方は定期にチェックしてみてはいかがでしょうか。古書店所蔵品展示の際には、値がつけられていて、古書店との交渉の上で購入できる場合もありますよ。
9階から10階へは、階段でもエレベーターでも行けるようになっています。階段を上がったあたりの壁は、障子のように格子状になっているところに漉き絵が貼られています。これは区内の小学校で好きなものを和紙に漉きこむというワークショップを行ったときの作品とのこと。見ると、顔は豚っぽいけど、身体つきから察するにドラえもんの絵があったり、楽しいです(笑)。
そこを折り返すと児童コーナー。児童コーナーにも貸出・返却カウンターがあります。奥には絵本の部屋があり、靴を脱いで上がれるスペースがとっても広いです。私が行ったときも2組くらい親子がいて、広いスペースを贅沢に使っていましたよ。
その他、千代田図書館では、神保町ツアー・文章を書くワークショップ・靴磨きなど、さまざまなイベントを開催しています。文章を書くワークショップでは、開催後に作品のいくつかを図書館で配布したので私も読みましたし、朗読のワークショップでも最後に発表会をしていて、参加した方が何かを得るだけでなく、得たものを発信する場として図書館を使っているのもいいですね。まあ、職人さんによる靴磨きイベントなどは、図書館で開催する意味がよくわかりませんが…(広く考えれば技の伝承を守る文化的意味があると言えなくもないけど、ただの利用者数稼ぎという気もする)。
従来の図書館の枠からはなかなか取り入れにくいだろう「新書マップコーナー」を導入した試みは面白かったと思うし、要は「従来の図書館の枠にこだわらないスタイルが、いい方向に進んでいるかどうか」が大事ですよね。単に目新しさや広告費をかけて耳目を集めるのではなく、利用者と知識・情報をつなぐ図書館の役割を広げていって欲しいと思います。
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千代田区立千代田図書館 特集・行事・図書館だより感想記
新書マップコーナー
図書館寄席
2007年5月7日の千代田図書館リニューアル開館のイベントで、入船亭扇治師匠による図書館寄席が行われました。
