渋谷区立代々木図書館 訪問記
代々木図書館の最寄駅は、小田急線の南新宿駅ですが、小田急線沿線以外の方には、JRや都営大江戸線の通っている代々木駅の方が便利かもしれませんね。代々木駅からですと、代ゼミの本部ビルなどがある通りをずっと進んでいけば、小田急線の高架をくぐった先、道の左側に代々木区民施設があります。その4階が代々木図書館。建物はかなり地味で古いので、"古い公共施設"っぽい建物を探せば見つけやすいかな。青い柵に囲まれているので、それも目印にしてみてください。
代々木区民施設はなかなか変わった構造で、小田急線の高架をくぐる道にある入口を入ったフロアが地下1階。その上の1階には代々木保育園が入っているのですが、そちらはこの入口ではなく建物の反対側から入れるようになっているんですね。その反対側というのが上り坂になっていて、坂を上ったところを基準として1階としているようです。裏側から入れるのはたぶん1階だけで、2階から上は地下1階の入口から上がればたどり着く形。4階にある代々木図書館もこちら側から上がっていくことになります。
代々木図書館は、以前は4階の一部屋を使った代々木図書室という施設だったのですが、2008年7月から4ヶ月かけて改修し、2008年11月1日から4階全てを使った代々木図書館へと生まれ変わりました。中に入ると、一見児童コーナーしかない図書館に見えますが、左の廊下やそこを通った先にあるもう一部屋にも本棚が並び、『ここで終わりかと思ったら、まだ先がある!』といった面白い構造になっています。それでも面積としては、渋谷区立図書館の中では一番小さい図書館です。
配置としては、入ってすぐ左に雑誌コーナー。その先右にカウンター、左に新着図書や新聞ラックがあり、更に先が児童コーナーです。ここまでが以前代々木図書室だった部屋ですね。そして、この左に廊下があり、そこにも本棚が並んでいます。廊下の棚は文庫と漫画と大活字本。検索機も廊下の手前に折り返したところにあります。廊下を進んだ先のもう一部屋が一般書架で、閲覧席も6席あります。
大人用の座席はカウンター正面にも2席あり、新聞や雑誌の閲覧席という位置づけだと思うのですが、周囲の棚との距離が近くて少し気を遣いそう。このテーブル席に座ると、新着図書を見たい人の邪魔になってしまいそうなんですよね。まあ、軽そうなテーブルだし、いざとなればテーブルごとずれれば大丈夫かな(笑)。
児童コーナーは図書館の面積が小さいわりには、広いスペースを割いています。同じ建物に代々木保育園が入っているので、通園の帰りに寄って本を読んだり借りたりできますね。児童コーナーの右奥には読み聞かせコーナーがあり、大きいミッフィーのぬいぐるみが迎えてくれます。左奥の棚には「しぶやおすすめの本50」という児童向け推薦図書があり、対象の本にはたぶん犬と思われる(という言い方も失礼ですが、顔にサルっぽい線が入っているので、微妙なんです。。。)イラストのシールが貼ってあります。
大人向けの本でも、家事関連本や旅行ガイドは児童コーナーに置いてありますね。家事関連本は「593 衣類・裁縫」の中に和裁と洋裁が混在していたり、その他の手芸も「594 手芸」にひとまとめなので、たとえば『子供のお弁当袋を作りたい』というときに、この大まかな分類から袋物の本を探すのが大変そう。一方、旅行ガイドは中規模図書館と同じくらいの冊数があり、充実していると言えそうです。
廊下の文庫や漫画の棚はまだ空きスペースが多いです。逆に言えば、これから購入する本は文庫中心にするということなのかもしれませんね。規模が小さくても文庫本中心にすれば蔵書点数は多くなりそうだし、それを個性とした図書館にするのもいいように思います。
漫画は文庫サイズとそれ以外のサイズで場所が分かれているのでご注意を。代々木図書館は、代々木図書室時代から手塚治虫の漫画を多く所蔵しているのですが、文庫サイズとそれ以外のサイズを分けて置いていることで、手塚治虫の漫画も分散してしまってもったいない気がします。版型にかかわらず全ての漫画を一緒に置くか、別々に置くなら他の場所にもある旨注意書きを書いた方が、利用者も気がつきやすいように思います。
奥の一般書架は、もともと音楽の演奏が可能な施設で、壁がその頃のままなんです。小学校の音楽室によくある、穴が縦に並んだ板と細くて出っ張った板が交互に並ぶ壁なのです(私は1971年生まれなので、違う世代の方とでは小学校の頃の設備も違うかもしれませんが、どなたかこういうタイプの壁の名称をご存知の方がいらっしゃったら教えてください)。音楽室に書棚が並ぶというのは、代々木図書館でしか見られない、レアな図書館となっております(笑)。
この部屋の閲覧机は壁に沿って一列になっていて、一人分のスペースややや狭いけど、デスクライトも一人分ずつついていますし、机の下には荷物を置ける段もあります。何冊も本を広げて調べものをするのには適していませんが、気になる本をちょっと読むくらいならちょうどいいですね。
書棚は小規模図書館なりのラインナップというところでしょうか。注意深く見ていくと、西原図書館の蔵書だったものがちらほらあります。西原図書館が長期間の改修工事をしている間に、代々木図書室を代々木図書館にしたので、移籍した方が有効活用できそうな本は、西原図書館から代々木図書館に移籍した、ということではないかと思います。パソコンの超図解シリーズや、旅行ガイドの一部もそうした移籍本で、旅行ガイドが充実しているのもそうしたことからなのかもしれません。
こういった小さい図書館は、アットホームな雰囲気があって、私は結構好きなんですよね。2008年11月1日の開館初日、代々木図書室時代の常連さんが久しぶりに来て職員さんと話しているっぽい風景を見かけたりしましたし、奥の一般書架が元音楽室だったことを私が知っているのも、改修工事前に行ったときに職員さんがいろいろ教えてくださったからです。
あと、この図書館、閉館音楽がないんですよね。閉館初日に17時の閉館までいたのですが、17時になっても放送などがなく、「もしかして初日はサービスで時間延長?」なんて思っていたら、職員さんが「閉館です」と言って回ってきました。たぶん単純に館内放送設備がないのではないかと思いますし、職員さんはこの点面倒かもしれませんが、個人的にはこういう図書館もいいのではないかと思うんですよね。
今って、あらゆることが機械化・自動化されて、人と接しなくても不自由なく過ごせてしまう。それは便利かもしれないけど、そのせいで人間関係を気づくことが下手になって、かえって暮らしにくい社会になっているのかも。。。そう思うと、放送ではなく直接声を掛ける図書館もいいものだと思いません?図書室から図書館になっても、小ささを活かして職員さんと利用者の距離が近い図書館であり続けることを願っています。

代々木図書館

