篠崎図書館
江戸川区立篠崎図書館 訪問記
江戸川区立篠崎図書館は、「大人のための図書館」という、他にはないコンセプトを持つ図書館。バリバリの大人はもちろん、早く大人になりたい中高生も、篠崎図書館で「大人の時間」を過ごせます。
篠崎図書館は、都営新宿線篠崎駅のすぐそばに2008年7月6日に移設された図書館。それ以前はもっと江戸川の近くにあったのですが、篠崎駅に西口という新しい出口を作って、西口に直結してビルを作り、その3階に移設したんです。ビルの1階と3階がしのざき文化プラザという施設で、その一画に篠崎図書館があるという形ですね。ビルの中にはスーパーのサミットや書店「ブックスゴロー」も入っています。
ビルの3階からしのざき文化プラザ内に入ると、まず目に入るのが「企画展示ギャラリー」と「伝統工芸 Café Artisan」。伝統工芸 Caféでは小松菜そばや金魚関連グッズといった江戸川区の特産品や、江戸切子やこぎん刺しなどの伝統工芸品を売っています。
名前の通り、コーヒーやケーキを食べる場所もありますよ。オープン当初はコーヒーやカフェラテ等だけで紅茶がなかったのですが、今は扱うようになって紅茶派の私は嬉しい限り。他には江戸川区小松川にちなんで命名された小松菜を使った小松菜ジュース・小松菜スムージーや、ワインなども飲むことができます。このカフェの食器は全て伝統工芸品ということなのですが、少なくともホットコーヒーやケーキの食器は、普通の白い食器にしか見えないんですよね(笑)。アイスの飲み物を頼んだらプラスチック容器でしたし。アイスの飲み物は小松菜ジュースを頼んだのですが、これはなかなかいけました。
「企画展示ギャラリー」では、3ヶ月おき程度で内容を入れ替えて、江戸川にちなんだ展示を行っています。東京の区市町村の生産量では、江戸川区がダントツで1位の小松菜に関する展示や、花火、金魚など、工夫を凝らした展示で面白いです。企画展示ギャラリーで行った過去の展示については、篠崎図書館の地域資料の棚に、展示での掲示物を縮小したPDFをファイルにまとめていて、それで振り返ることができます。絵や図を使ったわかりやすい説明になっているので、そのファイルだけでもなかなか見ごたえありますよ。
このフロアの奥には講義室があり、ここで「江戸川総合人生大学」が開催されています。「江戸川総合人生大学」は高校卒業後に進学する普通の大学ではなく、江戸川区の社会貢献のための学びと実践の施設。篠崎図書館の特集展示もこれらの施設と連動することがあります。このフロア全体で江戸川区の文化があれこれつながっている感じになっています。
3階のしのざき文化プラザ入口から見て、右奥に当たる広いスペースが篠崎図書館です。篠崎図書館の特徴は「大人のための図書館」。現在の場所に移設される前の旧篠崎図書館は、大人向け資料と児童向け資料のある一般的な公共図書館だったのですが、そのうち大人向け資料だけをこの移設後の篠崎図書館に持ってきたんです。そして、旧篠崎図書館跡地に、子どもの探求活動を支援する子ども未来館を建て、その1階に子ども向け資料を揃えた篠崎子ども図書館を作りました。
東京23区で、大人向けに特化して児童向け資料を置いていない図書館は、この篠崎図書館と千代田区の日比谷図書文化館のみ。親子で一緒に本を借りたいときには、こうして大人向け図書館と子ども向け図書館が別々の場所にあるのは不便かもしれませんが、親に付き合って篠崎図書館に来てみたら思わぬ本に出会えるかもしれないし、どうしても一般・児童両方の資料がある図書館がよければ、区内の別の図書館に行けばいい。せっかくなので、この珍しい施設を使いこなしたいところです。
篠崎図書館に一歩入ると、グレーの絨毯に黒の書棚で確かに大人の雰囲気。あまりにシックな雰囲気で、美容室か何かと間違えてしまいそうです(笑)。特別展示や案内が多く、落ち着いた雰囲気を壊さずに表示がしっかりしてあるので、図書館としての使いやすさもバッチリです。
館内の配置は、入口右にカウンター、左に新聞・雑誌コーナー。入口入った正面にはCD・DVDコーナーがあり、その右にCD・DVDの試聴機とネット閲覧PCが並んでいます。CD・DVDコーナーの左やその奥全体は一般書架で、左側と奥側の壁沿いには閲覧席がずらりと並んでいます。図書館の右奥には別室で持参PCを利用できるメディアワークルーム、左奥にはグループ研究室もあります。
新聞・雑誌コーナーと一般書架の境目となる棚は、英語で書かれた美術書や写真集が並んでいます。閲覧用というよりインテリアとして置いてある感じですが、これらビジュアル本なら英語が苦手な人でも見て楽しめますよね。
この英語図書棚の裏面には、朝日・日経・読売・毎日・東京・産経各紙の書評欄の切り抜きスクラップが貼られています。本好きの方なら、自分の購読していない新聞の書評欄だけでも読んでみたいものですし、こうして書評欄をスクラップしてくれているのは嬉しいですね。直近のものだけでなく、過去のスクラップもあるので、ぜひ本選びの参考にしてください。
雑誌ラックも少し変わっていて、本棚の各段の手前上に横棒を渡して、そこにブックスタンドを吊り下げて横にスライドするようになっています。最新号はそのブックスタンドに立てて、バックナンバーは本棚の中に入れているんです。このタイプの棚は他の図書館でも見たことありませんが、もしかして特注なのでしょうか。DIYをする人なら簡単に作れそうな面白い棚ですよ。
新聞・雑誌コーナーのテーブルには、ページをめくる際のすべり止めになる紙めくりクリームが置かれています。手が乾燥して新聞などのページがめくりにくいという方は、ぜひ使ってみてください。
CDは6000点弱、DVDは1000点弱と、結構充実しています。落語のCDの棚には、全集に付いてくる解説本が置いてある(館内閲覧のみ)ので、それを見てどのCDを借りるか決めることもできますね。私のように、落語の知識があまりなくて、タイトルだけでどのCDと選べない人には、落語CDコーナーに解説本を置いてくれるというのは嬉しいな。落語に詳しい方も、全集にしか付いていない解説本が図書館で読めるというのはいいですよね。
そういえば、児童コーナーがない大人のための図書館であるところの篠崎図書館、童謡などの児童向けCDは所蔵しています。逆も同じで、篠崎子ども図書館も児童向け以外のCDも所蔵しています。書籍やDVDは、中高生・大人向けが篠崎図書館、児童向けが篠崎子ども図書館と分かれていますが、CDだけは子ども向け・大人向けをすぱっと分けたわけではないようです。
書棚の側面には、2つおきに配架図が貼ってあり、書棚を回っている途中で、急に「このジャンルの棚の本を見たい」と思いついても、すぐに場所がわかるようになっています。その掲示されている配架図もいいのですが、入口入ってすぐ右で配布している配架図をぜひ手に取ってください。というのも、篠崎図書館では、通常の簡易版配架図・詳細版配架図のほか、「趣味・読書」「子育て・日常生活」「ビジネス」という切り口で書棚を紹介する配架図も配布しているんです。例えば、ビジネス関連であれば、「言語」の中に「809 話し方・挨拶・スピーチ」というジャンルがある、「工業」の中に「507 特許・商標」がジャンルがある…といった具合に、図書館の分類ではあちこちに散らばるビジネス関連の資料について、どこに何があるかというのを配架図で示してくれているんですね。図書館の分類に慣れていない人でも、この配架図を片手に書架を巡れば、図書館分類の通になれること請け合いです。
日本の小説は、著者名の五十音順。但し、複数の著者による作品集は、著者名ではなくタイトルの頭文字で分類され、分類の先頭に配架されています。つまり、小説の「ア」の棚に行くと、最初に書名が「ア」で始まる共著小説本があり、その次に著者名が「ア」で始まる小説が、著者名の五十音順に並ぶという方式。外国の小説は、英米文学・ドイツ文学・フランス文学…と地域別に分かれた上で、著者名の五十音順に並んでいます。
時代小説シリーズ好きにとって嬉しいのは、文庫棚で配布しているシリーズチェックシート。佐伯泰英の居眠り磐音 江戸双紙シリーズや和田はつ子の料理人・季蔵捕物控シリーズなどについて、作品名リストを作って読み終わったものをチェックできるシートを配布しているんです。図書館の本って、他の誰かが借りていて順番通り読めないこともあるし、順番にこだわらずタイトルに惹かれた順に読む人もいますよね。そうした読み方でも最終的には制覇したい、そんなあなたはこのチェックシートをぜひご利用ください。私もこんなサイトを運営しているくらいなのでよ~くわかりますが、「制覇欲」ってありますもんね(笑)。チェックシートが作られていないシリーズに関しても、たぶん入口入ってすぐ右にある意見箱ポストにリクエストすれば作ってもらえると思います。
篠崎図書館は、入口入ってすぐ左に特集コーナーがあるのですが、一般書架内のあちこちにもミニ特集コーナーがあるんです。読書週間などで書架内のミニ特集コーナーが増えるときには、どこでどんな特集をしているかがわかる特集MAPを配布してます。MAPがないときも、棚上に看板が飛び出していたり、棚上に本を展示しているところは、その下でも何かしらの特集コーナーになっていることが多いです。棚上に何もないところにある特集コーナーを見つけたときは、ちょっと宝物を見つけたような気分になったりして(笑)。秘境を探検する気分で、書架を探検してみてくださいね。
大人のための図書館である篠崎図書館ですが、中高生コーナーもありますよ。場所は入口から見て左の壁沿い。一般的な図書館は、中高生に読書の楽しさを伝えようと、賑やかでカラフルな中高生コーナーが多いのですが、篠崎図書館はシックで大人っぽい中に可愛らしさがキラリという雰囲気です。
篠崎図書館は書棚が黒いので、基本的な大人っぽさはその色が醸し出しているんですね。で、ジャンルの境目のピンクの見出しを見ると、小さくて可愛いイラストが描いてあるんです。例えば、「J400 科学」にはビーカーとフラスコのイラスト、「J780 スポーツ」にはグローブとボールのイラスト、「J914 エッセイ」には原稿用紙のイラスト…といった具合です。棚の上には、日本十進分類法の分類の内容を文字と絵で描いたものもあります。
ところで、児童向け資料って何かの概要を早く知りたい場合の入門書として使えるんですよね。池上彰さんが出演していたNHKの「週刊こどもニュース」が、大人にとってもわかりやすいニュース解説番組になっていたことを考えると、児童向け資料が大人にも通用することがわかってもらえますでしょうか。例えば、急に裁判員に選ばれて、「そもそも裁判員制度ってちゃんとわかっていない、どうしよう!」と思ったら、大人向けの小難しい資料を読むより、児童向けにしっかり作った資料の方が便利です。
児童書がない篠崎図書館では、この中高生コーナーが、そうした各ジャンルの入門書的な書籍が集まっているコーナーになります。篠崎図書館の図書館だより「ぷらっつ☆篠崎」2009年5月1日号によると、中高生コーナーでは「大人への階段」を意識した本を選んでいるとのこと。それを活かして、難しいことを噛み砕いて説明してくれる資料が欲しいときには、大人もこの中高生コーナーを利用するという手もありますね。
壁沿いの閲覧席は申込制で、9:00~12:50、13:00~16:50、17:00~21:30という単位で利用できるのだそうです。一単位が4時間というのは長くて嬉しい。もちろん、席が開いていれば、単位時間の途中からでも利用可能です。次の時間帯も引き続き使う場合は、一度席を立って順番待ちの列に並ばないといけません。
ネット閲覧PCは7台あります。このPCは1回30分、待っている人がいなければもう30分延長利用することができます。使ってみたところ、ブログはブロックされて見られないようになっていますね。公共図書館のネット閲覧PCは、あくまでも閲覧用ということで投稿などができるページは利用できないようにしてあるものも多いですが、情報としては私のブログをはじめ(? 笑)として、有益なブログも多いので、ブログは全てブロックというのは残念な気もします。
ネット閲覧に関しては、右奥のメディアワークルームでNTT東日本のフレッツ・スポットか公衆無線LANスポットサービスのフリースポットを利用してネット接続をすることもできます。フレッツ・スポットの方は自分で事前にNTT東日本に申込をしていないと利用できませんが、フリースポットの方は無線LAN接続機能さえ自分で用意すればいいようです。この部屋の席の利用には図書館カードか身分証明書の提示が必要で、こちらも閲覧席と同様に9:00~12:50、13:00~16:50、17:00~21:30という単位で管理しています。
左奥のグループ研究室はA,B,Cの3部屋あり、Aは4~8名、BとCは2~4名で利用できるようになっています。1回あたりの利用時間は4時間でこれまた長い。グループ研究室は、閲覧席やメディアワークルームのような時間帯による区切りではなく、使用開始時間からの経過時間で管理しているようです。同じフロアにある江戸川総合人生大学と一緒に利用して、図書館で研究したことが実践につながったりしたら素敵ですね。
篠崎図書館をご利用の方ならおなじみかもしれませんが、篠崎図書館では「ぷらっつ☆篠崎」という隔月発行の図書館だよりを配っています。書籍やCDを思いいれ込めて紹介する文章は読んでて楽しいですし、篠崎周辺の史跡や施設を紹介してくれるコーナーもあるんです。誌面では編集員の皆さんが、ペンネームで本を紹介してくれるので、篠崎図書館の職員さんを観察して、風雲ふわふわ丸さんってこの人かな、愛燦々さんってあの人かな、と想像するのもいいかもしれません(笑)。
また、中高生コーナー向かって左には、「江戸川総合人生大學文庫」コーナー。学長である北野大の著書に始まり、江戸川総合人生大学の各学科、「江戸川まちづくり学科」「国際コミュニティ学科」「こども支援学科」「介護・福祉学科」の関連資料が置いてあります。一般書籍だけでなく、実際に江戸川総合人生大学で使ったと思われるテキストや、学生さんたちによる研究結果をまとめたものも。これから江戸川総合人生大学に入ろうとしている方や、過去の講義について知りたい方などにも参考になるコーナーですね。
最近建てられた図書館はそうしたところが多いのですが、篠崎図書館も吸音性が優れていて、ほとんど音が響きません。加えて、児童コーナーがないから子供の来館も少なく(といっても、図書館に入るのは年齢制限などなく自由ですよ)、本当に静か。集中して読書や調べものをしたい人には嬉しい図書館です。
篠崎図書館は閉館音楽がないので、気がつくと閉館時間になっていることも。閉館の合図となるものって、閉館少し前(たぶん閉館15分前)と閉館時間ぴったりにアナウンスが流れるだけなんです。これ、私も慣れるまでは、時間の目安となるものがなくて不便だなあと思っていたのですが、ギリギリまで静かなおかげで集中できるので、最近は気にいっています。でも、読書に夢中になってしまう方は、あっというまに閉館時間になってしまうので、気をつけましょう(笑)。
賑やかで本に親しみが湧く図書館は、読書に苦手意識を持っている子どもを本好きにさせるきっかけにもなったり、それはそれで楽しいけど、大人には静かに本と対峙したいときがありますよね。そんなときはぜひ篠崎図書館へ。素敵な本とのいい時間を過ごしてくださいね。
江戸川区立篠崎図書館 特集・行事・図書館だより感想記
2011年秋の読書週間から11月にかけての展示
「家族」
「夜」
ぷらっつ☆篠崎 特集「結婚」
篠崎図書館の図書館だより「ぷらっつ☆篠崎」の第12号。篠崎図書館の職員さんが「結婚したい人物」「結婚したくない人物」が出ている小説を紹介しています。
「本の本」
「くだものだもの。」

篠崎図書館では、読書週間を中心とした2011年11月に、本の一節から目隠しで本を選ぶ「ひと言選書」やあらすじにちなんだイベントが起こる「外国小説すごろく」など楽しい企画をいろいろ行っています。